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今回は、長時間労働の問題に対処するための法案の概要及び雇用保険の適用拡大についてご説明致します。

目次

長時間労働規制法案について雇用保険の適用拡大等について

◆長時間労働規制法案について

●日本において、長時間労働の弊害、とりわけ”過労死”が社会問題化しています。そのため、国会において、長時間労働規制法案(労働基準法の一部を改正する法律案)が審議されています。現段階では、法案が国会で採択されるには至っていませんので、最終的にどの様になるか明らかではありません。しかし、政府与党においても、何らかの労働時間の規制は必要であるとの認識で一致していると報道されていますから、今後、労働時間に関する規制が強化されるのは間違いありません。そこで、審議中の法案はどの様なものなのか、その概要についてご説明致します。

●具体的な法案の概要

1. 労働時間延長の上限規制
-36協定による労働時間の延長に上限を法制化するものです。具体的な時間については、労働者の健康の保持及び仕事と生活の調和を勘案して、厚生労働省で決定するとされています。
2. インターバル規制の導入
-始業後24時間を経過するまでに、一定時間以上の継続した休息時間(インターバル)の付与を義務化するというものです。
3. 週休制の確保
-4週4日の変形週休制の導入について、労使協定がその要件となるとしています。
4. 事業場外みなし労働時間の明確化
-判例を基に、適用条件を明確化するとされています。
5. 裁量労働制の要件の厳格化
-これまで、一定の職種において広く認められていた裁量労働制について、今後は、使用者(会社)が労働者の健康管理時間を把握・記録し、上限の範囲内とする措置をとることを導入の要件とするものです。

●実効性の担保

長時間労働を規制するための実効性を高めるために、次の様な考えが提示されています。
1. 労働時間管理簿の調製
あらたに労働時間管理簿の調製を義務付け、労働者単位で日ごとの始業・終業時刻、労働時間等を記録しなければなりません。
2. 公表
厚生労働大臣が、適正な労働条件の確保及び労働者保護の観点から、違反事例について、名称等を含め公表できる様にします。
3. 罰則の強化

◆雇用保険の適用拡大等について

●平成29年1月1日から、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象となりました。

1. 平成29年1月1日以降、新たに65歳以上の労働者を雇用した場合。
雇用した時点から高年齢被雇用者となりますので、雇用した日の属する月の翌月10日までに、事業所所轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
2. 平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し、平成29年1月1日を継続して雇用している場合。
事業所所轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

●65歳以上の労働者が離職した場合、引き続き、高年齢求職者給付金が支給されます。なお、給付をうけるには、離職後に居住地を管轄するハローワークにおいて、受給資格の決定を受ける必要があります。

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